節分
2021/02/02
今日は2月2日節分です。
「鬼は外、福は内!」
楽しい行事ですが、気お付けなければならないことも...。
大切な記事を見つけました。
「死亡事故、二度と起こさないで」NPOの要望メーカーがすぐに応える
今日は節分です。大豆やピーナッツをまいて「鬼は外、福は内」と祈る楽しい伝統行事ですが、幼い子どもが誤って豆を飲み込む危険性も指摘されています。
子どもの傷害予防に取り組むNPO法人「Safe Kids Japanは、昨年3月に日本ピーナッツ協会に「4歳未満は食べさせないで」と豆の商品の袋に表記をする要望書を
提出、早速大手メーカーが表記を改善しました。素早い対応の背景には、幼い命が落とされた事故がありました。
気管で膨らむ乾燥豆
各団体が注意喚起に更に力を入れるきっかけとなった事故は、昨年2月の松江市の保育園で起きました。
【2020年2月14日朝刊社会面の記事】
”松江市東朝日町の「松江認定こども園」に通う男児(4)が、3日に行われた節分の豆まきの豆をのどに詰まらせて窒息死した。松江市が13日に記者会見して明らか
にした。
市子育て政策課によると、男児がいた3歳児クラスは午前10時ごろから煎り豆を食べ、午前10時20分ごろに遊戯室に移動して豆まきを始めた。
その後、保育士が意識をなくして倒れている男児に気づいた。園に常駐の看護師がAEDや胸骨圧迫による心肺蘇生を試み、職員が119番通報。
男児は市内の病院に運ばれたが、正午過ぎに死亡が確認された。
死因は水分を含んでふくれた大豆が気道をふさいだことによる窒息という。”
セーフキッズジャパンの理事長で小児科医は、このニュースについて「一般家庭ではなく、保育の場で事故が起こったということがショックでした」と話します。
乾燥した豆が気管に入ると、豆が膨らんで肺に空気が届かない『無気肺』になったり、肺炎になったりして死亡してしまうこともあるそうです。
これ以上の被害をなくすために、事故直後の3月末に、地方議員連盟と共同で日本ピーナッツ協会への要望書を出しました。
「各団体が広報などで危険性を伝えているにもかかわらず、まだ幼児への乾燥豆の危険性が知られていないなら、
商品の袋に直接表記するのが一番分かりやすいと思いました」 ピーナッツ協会に要望を伝えたのは、日本ではピーナッツが日常的に食べられているためだといいます。
※無気肺…気管支に物がつまり、奥の肺胞まで空気が入らなくなる状態
あえて「きっぱり」伝える
【ピーナッツ協会への要望書の内容】
・「4歳未満の子どもには、豆は食べさせないでください」と大きな文字で記載してください。
・ 合わせて、「子どもが泣き切った後や驚いたときなど大きく息を吸い込んだときに、口内にある豆が気管に入ります。
子どもが泣いているときは、豆を食べさせないでください」と小さな文字で記載してください。
要望書のポイントは「食べさせないでください、ときっぱり伝えること」と話します。
「これまで、豆商品の注意事項には『見守ってください』と書いてありました。しかし、大人が見守っている場合
すぐに救急車を呼ぶことはできても、気管に入ってしまった豆を取り出せる訳ではない。
事故ができてしまっては遅いのです。
『食べさせないでください』と明確に伝えることが大切だと考えました」。
早速商品の袋の表記を改定
大手の「でん六」は、今年から節分関係の商品を中心に、赤字で「4歳未満のお子様には食べさせないでください」とパッケージに目立つように書くようになりました。
【でん六の節分の豆の袋の裏「取り扱い上の注意」項目】
<改定前>3項目に 「うまく飲みこめないことがありますので、お子さまがのどにつまらせないよう必ずそばで見守ってあげてください」
<改訂後>1項目に 「大豆は、4歳未満のお子様には食べさせないでください。誤って気管に入り窒息する危険があります。また、お子様が泣いている時には食べさせ ないでください」
でん六によると、要望書をピーナッツ協会から受け取った後からすぐに協議を始めたといいます。 経営企画室長は「当初は『4歳未満のお子様には食べさせないでください』というインパクトのある表現に戸惑いもあり、様々な表現案が出され議論を重ねました。
最終的にはセーフキッズジャパンの要望に沿った表現にすることを決めました。業界としても取り組むべき課題であり、弊社が率先して実施することにより他企業への
垂範となるよう、対応を決めました」と説明します。
春以降からは随時、消費者庁が今年1月に新たに定めた「5歳以下」に表示を変更するといいます。
子どもの誤嚥・窒息はなぜ起きる?
子どもはなぜ乾燥した豆を誤嚥、場合によっては窒息してしまうのでしょうか。そもそも、食べ物は本来、口からのどを通って食道に入り、胃に送られます。のどの途
中まで食べ物と空気の通り道は一緒ですが、そこでうまく分かれるようになっています。
しかし、食道に入るはずの食べ物がなんらかの理由で空気の通り道である気管や気管支に入ってしまうことを「誤嚥」と言います。
また、食べ物がのどや気管・気管支に詰まり、空気が肺に届かなくなることを「窒息」と言います。誤嚥により気管や気管支に入った食べ物は、水分を含んで膨潤し、
空気の通り道を塞いで窒息に至ることがあります。
子どもは、奥歯が生えそろわず、かみ砕く力や飲み込む力が十分ではないため、豆やナッツ類を食べるとのどや気管・気管支に詰まらせて窒息したり、肺炎を起こした
りするリスクがあります。 大人に近い咀嚼(食べ物を歯でかみ砕くこと)ができるようになり、飲み込んだり吐き出したりする力が十分に発達するのは3歳頃ですが、
その2つを協調させることができるようになるのは6歳頃だといいます。
4歳未満?5歳以下?
消費者庁の調査では、2014年から2019年までの6年間、食品を誤嚥したことによる窒息で、14 歳以下の子どもが80人死亡していると発表しています。
セーフキッズジャパンの要望書では「4歳未満」と表記しました。上の消費者庁の調査でも3歳以下は80人中64人を占めています。
「目安を示さなければならない。死亡のデータを調査し、発生の多い4歳未満を設定しました。セーフキッズジャパンでは、では、豆以外の丸い食べ物、たとえばミニ
トマトやブドウなど『4歳まで、4センチ径のものは、4分割に切って食べさせる』という啓蒙をしています。
すべて4に合わせた方が分かりやすいと思い4歳未満に設定しました」。
ただし、「正確に言うと、子どもの発達程度や、歯の生え方によって異なるので、何歳が正解と言うことはむずかしいです。
『幼児には食べさせない』と考えてください」とつけ加えます。
一方、消費者庁では、注意喚起の広報を1月20日にリリースし「5歳以下の子どもには食べさせないで」と警鐘を鳴らしています。
同じ調査で、5歳以下の死亡者は73人で、全体の9割に及ぶためです。消費者庁の担当者は「これまで3歳までは豆を与えないように注意喚起していましたが、昨年
2月の松江市で発生した事故では4歳の園児が亡くなったということ、日本小児科学会では5歳以下と定めていることから、今年5歳以下と改めました」と話します。
消費者庁のニュースリリースでは、シミュレーション結果とともに誤嚥のメカニズムを詳しく伝えています。さらに、誤嚥した場合に吐き出させる方法も紹介しています。
豆まきは、本来は福を家にもたすもののはずです。大切な子どもが事故に遭わないよう、大人が改めて注意しなければならないと実感しました。
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